February 2025

vol.45 それでも会いたい人がいる。

(ライター:弓指利武、音声:井本ゆうこ) ヴァネッサ・カールトンが2002年にリリースした楽曲、『A Thousand Miles』を聴きながら帰路につく。 最終電車に揺られ、先ほどまで友人と語り合っていた激論を思い返していた。私たちはなぜあんなにも、熱く語り合おうとするのだろう。 軽快なピアノのイントロが心地いい『A Thousand Miles』とは、遠くにいる大切な人に会うためなら、Thousand Miles先でも厭わないという意味だ。 1000マイルは約1600キロ。例えば青森県から山口県に至る、本州をすっぽり覆う距離だ。 大切な人のためであれば1000マイルくらいなんてことない。人は結局のところ、人から感動をもらい、人から幸福を感じ、人によって支えられている。しかし時に、人によって悩まされ、人から病(やまい)をもらい、人から人生の苦しみを味わう。 いかん。激論の余波がまだ残っている。頭を冷やすとする。 今日もよろしくお願いしますと、早朝からあの高らかで明るい声が耳に入る。ツーリストシップ・マネジャー、春田菜々美氏の第一声は、その透明感が印象的だ。『A Thousand Miles』のイントロさえ凌ぐだろう。 彼女の、ツーリストシップに入ってからの活動量が物凄いことになっている。 「何でもさせていただけることに感謝しかない」と息巻く春田氏の上ずった声が、その充実度を物語っていた。 人材難にあえぐ観光業界を盛り上げようと、就活イベントまで企画した。関西と関東で1回ずつ開催する。見れば名だたる企業が顔をそろえる。 「こういう恩返しも、あっていいのではと思ったんです」 この勢いである。イイと思ったらやる。この軽快なリズム感がツーリストシップである。 2030年のビジョンも、社内で何度も議論した。そのころの私は一体、何をしているだろうと。もっと海外に目を向けて、新しい価値を生み出していきたい。就活イベントも定期開催をにらみ、「人との出会い」という旅を提供していきたい。旅の概念が次々と展開されていく躍動感がそこにはあった。 旅は何も、遺跡や観光名所を巡る事だけではない。そして何も、出向くことだけが旅ではない。出会いを創り出すことも大きな旅だ。 たとえ遠くにあったとしても、架かる距離なんて吹き飛ぶくらいの、あなたに会いたいを実現していくこと。 就活という出会いを創る春田氏の想いには、ツーリストシップの概念を更に深化させた、壮大なミッションが込められている。 『A Thousand Miles』の歌詞には、こうある。 Cause you know I’d walk a thousand milesIf I could just see you (1000マイルでも会いに行くさ)(無論、あなたに会えるならね) 春田菜々美に会いに、これからもたくさんの人がやってくるだろう。 イベントに集う企業、そこに来る学生そして、ツーリストシップを想う旅人たち。 …人は面倒でも触れ合い、議論し、熱くなる。きっとそれは、それでも会いたい人がそこにいるからなのだろうと、想う。 春田菜々美と会うには、1000マイルでは“短すぎる”のだ。 やがて駅に到着し、冷たい夜空を見上げてみる。まだ火照った頭を揺らしながら、そして春田菜々美の未来をふと想像しながら、『A Thousand Miles』を、聴いている。