Vol.002 ブース出店で、ツーリストシップを広げる価値

ドシーンとしてる。

 冒頭から悪ふざけを企んでいるわけではない。この、端的で明快な感動詞が、今後ツーリストシップが最も重要視する音であり、詩(うた)である。上から重たいものが落ちてきた音でもなければ、ある日の私が痛恨の親父ギャグを全開させ、こんなにもシーンと静まり返ることがあるのかという、そんな痴話話をさらけ出したいわけでもない。この音こそが、田中代表の想いを表す、現場に根付く痛恨の感動詞なのだ。

 選ばれなければ 選べばいい

 国民的大ヒットしたアニメ「鬼滅の刃」。その主題歌『残響賛歌』の一節だ。何かと「認証」に目がいき、スケールメリット偏重になりがちな昨今。大事なのは何かのお墨付きや誰かに選定される価値ではなく、私自身がそれを手に取り、自らが求め続ける胆力である。ツーリストシップは今、自らの足と耳で、本気で現地に根を張り、一人一人の声に寄り添おうとしている。選ばれる必要はない、ツーリストシップがその行動を「選び」、コミットする。

 毎月7日間をかけ、ツーリストシップを伝える。観光客一人ひとりに声をかけ、どこから来たのか、何を求めているのか、まさに対話形式で関わり合う未曽有の企画だ。クイズを交えて楽しい旅行の1ページに加えてもらうだけでなく、対話するからこそできるツーリストシップの意義を感じてもらう。

企業スポンサーも月額5万円で募る。企業が観光客に聞きたい事を、まさに対話形式で聞ける贅沢な時間を思えば、決して高い買い物ではない。この地に訪れる一人一人への、渾身のフィールドワーク。着色なし、飾り気無の、体を張ったマーケティングであるから、気合が違う。彼女が思わず口にした、「何て言うかその、ドシーンとしてるんですよね、向き合う事って。しっくり感があるというか。ちゃんと出逢いたいというか」という言葉も、頷くしかない。

『残響賛歌』には、他にこんな歌詞がある。

この先どんなつらい時も 口先よりも胸を張って

抱いた夢の灯りを全部 辿るだけ

逃げ出すために ここまで来たんじゃないだろ?

一人一人に向き合い、安きに流れず、その場に根ざし、堂々と胸を張って行動することこそ、ツーリストシップが本当の意味で広がる何よりの最善手であることを、既に田中代表は見抜いていた。これが世界で回り始めた時、ドシーンという音は『残響賛歌』にも引けを取らない、太くて深い、詩(うた)になる。