Vol.47 【最終回】終わりは始まりを告げる
(ライター:弓指利武、音声:井本ゆうこ)
何でもそうだけど、フィナーレってどこか照れ臭い。今までありがとうございましたと、改まって言われるあのむずがゆさが何とも言えない。率直な今の気持ちである。
活動コラムには前身があった。「ツーリストシップ研究所」である。3年前の2月に産声を上げた初回のタイトルは「冬の湖にたたずむ鶴」。今見れば何のことだと首をかしげるタイトルだ。
方々(ほうぼう)から集まった、ツーリストシップへの質問や提言、お叱りのメッセージに対して、まるでラジオのMCのように答えていく形式だった。その後、今の活動コラムに形を変え、田中代表をはじめツーリストシップメンバーとの対話からキーワードを抽出し、言葉に替えていった。そしてその言葉たちは、井本ナレーターの声によって見事に命が吹き込まれていった。
ちょっと余談だが、当時の作風の散らかりようがもの凄い。公園の看板から覆面レスラーに至るまで、出てくる話題に統一感がまるでない。よくぞまあ、この暴れん坊な文章たちを田中代表はOKしてくれたものだと、いささか、こっ恥ずかしい。
あれから3年と4か月。延べ70作ほど書き連ねてきたが、遂にこれが最終回となる。今こうして色々なことを思い出し、良いものを書こうとすればするほど、心の中で妙な邪念が顔を出しては引っ込んで、筆が思うように進まない。
先月の打ち合わせ、次回を最後にしたいと言われたときは、ツーリストシップメンバーが勢揃いしていた。井本ナレーターも同席しての、久々の顔ぶれだった。皆さんから、感謝の言葉をたくさん頂いた。どれだけお役に立てたか分からないが、小生の拙い文体を、あんなに褒めていただいては、この最終回をどう描こうか、どう残そうかと迷うのも無理はない。
照れ臭い理由とは、まあ、そういうわけである。
いよいよ書かねばと重い腰を起こそうとしたとき、ミスタープロ野球こと長嶋茂雄氏の逝去を聴くことになる。「我が巨人軍は永久に不滅です」は、もはや昭和の一大事に数えられる。6月3日、日本列島が喪に伏した。
一つの終わりが、新しい何かを呼び寄せる。スーパースター長嶋氏の現役引退のあと、時を経て野球の風景は大きく変わっていった。メジャーに通用する日本人選手が生まれたり、通用するどころか世界を代表するメジャーリーガーが日本人から生まれたり。当時では想像のつかない展開が現実のものとなっている。世代を跨ぐとはそれほどにダイナミックなことなのだ。
活動コラムがツーリストシップに果たした役割は何だったのか。それを私自身が語ることは許されない。ツーリストシップを拡げ続けるスタッフの皆様と、何よりお取引のある企業様、個人で応援頂いている皆様がこれをどうご覧になり、お読みになるかが全てである。最終回を迎えるに辺り、私はある意味で、活動コラムの本文が表れた気がしていた。
終わりは突然やってくる。その訪れは、いつぞやの分岐点になる。活動コラムを終えることで、ツーリストシップはまた次の段階に突入する。野球界に起こったダイナミックな展開は、ツーリストシップにとっても例外ではない。終わりは始まりを告げる。活動コラムの最大の功績は、今こうして無事に終わることができたというこの一点に尽きる。次のフェーズにバトンを託し、次の場所に旅路を移し、世代を跨ぐことの意義を想うのである。冬の湖にたたずむ鶴は、厳しい冬を避けて日本に上陸し、また海を越えて旅立っていく、渡り鳥なのである。
「長い間皆様、本当にありがとうございました」
1974年10月14日、後楽園球場のど真ん中で、スポットライトを浴びた長嶋氏の名演説は、この言葉で締めくくられた。きっとカッコいいフィナーレとはこういうのを言うのだろう。いやそんなこと言われても。照れ臭いやないか。心がざわつく。むずがゆいのである。
だから最終回、さよならは言いません。活動コラムが無事に終わる事への感謝と希望を胸に、ここらで、ひとまず。
「我がツーリストシップは永久に不滅です」
なんてね。
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皆様、改めましてこんにちは。活動コラム更新担当のハルタです。活動コラムは今回にて最終回となりました・・!これまで読んで聞いてくださった皆様に大変感謝申し上げます。ツーリストシップの活動やメンバーの想いが詰まっているこれまでのコラムはそのまま残しておきます。
「我がツーリストシップは永久に不滅です」
この言葉を実現するためにも、ツーリストシップのさらなる普及を進めて参ります。