vol.41 【速報】彼女の名は、春田菜々美。
「この味がいいね」と君が言ったから七月六日はサラダ記念日
1987年に発刊されたベストセラー『サラダ記念日』である。与謝野晶子このかたの天才歌人と評された俵万智氏の、日々の小さな幸せを歌う数々に、読者は自分自身にも身に覚えのある小さな日常を重ねていた。あー、わかるそれ。そうなんだよねー。言葉にならぬ言葉達がバブル期真っただ中の日本列島を駆け抜けた。
ツーリストシップも負けず劣らず現代の日本列島を駆け抜ける。そんな中で、その歴史に燦燦と輝く「記念日」が生まれた。正規メンバーとしてのニューフェイスである。普段通りの日常に咲く小さな花を愛(め)でる人であり、開口一番から花を咲かせるその佇まいは、『サラダ記念日』に描かれた小さな幸せを彷彿とさせる。初めて膝を突き合わせるのに、もう既に何度もお会いしていたかのような錯覚を抱かせる。気負いもなく、着飾ることもない。等身大であることが余計に燦燦とその存在感を輝かせていた。あー、わかるそれ。そうなんだよねー。一貫してこの調子なのである。
ツーリストシップとの出会いは大学生の頃、田中代表がゲスト登壇した授業だった。こんな若い人が堂々と物おじしないプレゼンをするなんて。衝撃的だった。たった3つ年上なだけで、こんなインパクトを残していくその背中を追いかけたくなった。やがてボランティアとして田中代表と行動を共にするようになる。いずれ一緒に働いてみたい。そう思うのに時間はかからなかった。
「この味がいいね」よろしく、彼女の息抜きは家庭料理だ。料理を作っているときは無心になれる。旅先クイズ会のこと、そして担当する自治体との交渉ごとが頭から離れない中でも、料理をすると没我の如く工程のことしか頭にない。こういう時を過ごすことで、仕事もプライベートもバランスが取れるという。しかし料理と言っても、お菓子作りは除外される。細かい軽量が面倒だからだ。「目分量の女と呼んでください」とは本人直々の言葉である。なるほど確かに、そんな豪快なところは彼女の笑い声からも窺い知れる。細かいことは気にしないのである。
彼女には夢がある。観光業界で働く人を増やすことだ。特に、衣食住を全て担うホテル・宿泊業界の待遇改善と更なる発展をビジョンに描いている。観光業のおもしろさと複雑さ、正解がないややこしさが何ともいえない魅力を運んでくる。こんな尊い世界に、私を入れなくてどうする。大学を卒業し半年間一般企業で働いたのちに、彼女は遂にツーリストシップの門を叩き、正社員となった。九月五日のことである。
田中代表には尊敬の念しかない。しかし時折「もうちょっと落ち着いたらどうだろう」と思うこともあると言ってやはり笑っていた。完ぺきではない、そしていつも駆け抜けている田中代表の、あらゆる個性が彼女の心に灯をつける。「実は慎重派なんです」と小生に告げたのは、きっと田中代表の情熱やアクティブなところ、そして時折チャーミングに抜けたりもするその全てを、私なら引き受けてみせますという決意であった。
軽快なほどに人の懐に飛び込んでいく彼女の瞬発力は、ツーリストシップの未来である。人に、地球に、社会に、課題に。あの等身大の笑顔がこれからますます、ツーリストシップを面白くする。照らし続ける。『サラダ記念日』を強引に引用するなら、こうなる。
「この旅がいいね」と君が言ったから九月五日はツーリストシップ記念日
彼女の名は、春田菜々美。
一般社団法人ツーリストシップ・地域連携マネージャーその人である。