202512 by Sakurai 富士宮の焼きそば屋さん

こんにちは。サクライです。

ある週末、富士山を見に行こうと思い立ち、朝早く車を走らせました。

道の駅で澄んだ空気と雄大な富士山を堪能したあと、地元の名物を食べたくなり、富士宮焼きそばのお店を訪れました。

店は住宅街の一角にある、昔ながらの佇まい。店内には駄菓子が並び、どこか懐かしい香りが漂っていました。

お客さんは誰もいませんでした。

だからこそ、店主とゆっくり話をする時間が生まれました。

地元の味を楽しみながら、地元の方のお話を聞く——まさにツーリストシップの体現だと感じました。

店主のお話によると、この店は昔ながらの製法を守る老舗で、朝4時から夜9時まで営業し、2時間待ちが当たり前の人気店だったそうです。

ある時「閉店するらしい」という噂がSNSで広まり、客足が急に遠のいてしまいました。

SNSをやっていない店主にとっては寝耳に水で、誰が流した噂なのかも分からないまま、状況に振り回される日々が続いたといいます。

昔は、大変ではなかったですか?と質問すると、「大変だったけど楽しかった!」と満面の笑顔だったのと、そのあと客足が遠のいた時の寂しそうな表情が印象的でした。

鉄板前の椅子に案内されるスタイルも、かつて油はねを指摘されたことから生まれた店主なりの工夫。

長年地域に根づき、誠実に店を守ってきた姿が伝わってきました。

昔の富士宮焼きそば店は駄菓子屋を兼ねていることが多く、まるで今のコンビニのように何でも揃っていたそうです。

50円玉を握りしめ、子どもたちが「これで何が買えるかな?」と計算しながら買い物をしていた光景は、店主にとって大切な思い出です。

しかし今は、塾などで子どもが来ることは激減。

たまに来てもお金を持たずに来る子もいるといいます。

カード決済が当たり前になった影響で「計算ができない子が増えているのでは」という店主の言葉には、少し寂しさもにじんでいました。

このような店は、観光客にとっても地元の生活文化を感じられる場所です。

観光地の魅力は景色や名所だけではなく、こうした地域の日常と、人の温度によって作られていると改めて感じました。

私にできることは大きくありません。
それでも——
また訪れたときに立ち寄ること。
知り合いに魅力を伝えること。

そんな小さな行動の積み重ねが、ツーリストシップの本質であり、地域の未来を支える力になるのではないでしょうか。

富士宮焼きそばの香ばしい味と、店主のまっすぐな言葉を思い返しながら、改めて旅の責任と地域とのつながりについて考えた一日でした。