202601 by sakurai 作る側の一声が、街を変える
こんにちは、サクライです。
ツーリストシップの活動を通じて、先日とても心に残るお話を伺う機会がありました。テーマは、多くの観光地や商業施設が頭を悩ませている「ゴミ問題」です。
この問題は、どの地域でも対策に苦慮しており、決定的な解決策がなかなか見いだせないのが現状ではないでしょうか。私自身も、各地でこの話題を耳にするたびに「何か良い方法はないだろうか」と考えてきました。しかし、もし特効薬のような策があるのなら、すでにどこかで実践され、広く普及しているはずです。そう簡単な話ではない――それが正直な実感でした。
そんな中、ツーリストシップ普及活動でお世話になっている方との何気ない会話の中で、「これはもしかすると、解決への糸口になるのではないか」と感じるエピソードを伺いました。
その方も、日頃からゴミ問題に心を痛め、現場を見回っては状況を憂いておられました。ある時、有名観光スポットを訪れる機会があったそうです。観光客で大変賑わっているにもかかわらず、足元を見渡すとゴミがほとんど落ちていない。その光景に強い違和感と疑問を抱いたといいます。
「なぜ、こんなに人が多いのに、街がきれいなんだろう?」
気になったその方は、近くのお店の方に思い切って尋ねてみました。
「ここ、ゴミがほとんど落ちていなくて本当にきれいですよね。何か特別な取り組みをされているんですか?」
すると返ってきた答えは、意外なほどシンプルなものでした。
「そうなんですね。特別なことは特にしていませんよ。ただ、お店で買った食べ物のゴミは“持ってきてね”と声かけはしています。それと、近くに落ちているゴミがあれば拾うようには心がけています。」
一見すると、ごく当たり前の行動に聞こえます。しかし、その言葉を聞いた瞬間、その方はハッとされたそうです。
これまで自分は、「ゴミを捨てる側」、つまり観光客のマナーや行動ばかりに目を向けてきた。しかし、「ものを作り、売る側」であるお店の存在と意識が、すっぽり抜け落ちていたのではないか――。
作る側の人たちが「街をきれいにしていこう」という意識を持ち、自然な声かけや行動を積み重ねることで、公共のゴミ箱に頼らずともゴミは減っていく。そして何より、そのやりとりの中に、観光客と地域との間に小さなコミュニケーションが生まれる。
それはまさに、「お互いを思いやり、気持ちよい関係を築いていこう」というツーリストシップの考え方そのものではないか――その方はそう感じられたそうです。「これは、今の時代だからこそ広げる価値がある取り組みだ」と。
もちろん、すべてのお店の方が同じ考え方を持っているわけではなく、簡単に進む話ではないでしょう。それでも、挑戦してみる価値は十分にある。そう強く感じられたといいます。
この話を聞いたとき、思わず声に出して「なるほど!」と叫んでしまいました。似たような話を聞いたことはありましたが、具体的な実例として伺ったことで、すとんと腑に落ちたのです。
観光客だけにマナーを求めるのでもなく、地域だけが背負い込むのでもない。観光客とお店、そして地域が一体となってゴミ問題に向き合っていく。
すぐに劇的な変化が生まれるわけではないかもしれません。しかし、こうした小さな意識と行動の積み重ねこそが、ゴミ問題解決への確かな一歩となり、ツーリストシップの輪を広げていくのではないか。
今回のお話は、そんな希望を感じさせてくれる、大切な気づきでした。


