202511 by Sakurai ―石垣島で感じた「旅の責任」と「つながり」

始発の南海電車に乗り、まだ静まり返った車内で「いよいよ石垣島だ」と胸が高鳴る。
手荷物の重量制限が7キロまでということで少し緊張したが、無事にクリア。約3時間のフライトで、機内から見えた青い海と島の姿に思わず心が躍った。

ところが着陸寸前、強い風の影響で機体がふわりと再上昇。再チャレンジまでの10分間、少し不安な気持ちで窓の外を見つめた。
しかし、周りの乗客は皆さん冷静。2度目のチャレンジで無事ランディングした瞬間、胸の中で思わず拍手を送った。

到着した石垣島は、思ったほど暑くなく曇り空。まずはいつもお世話になっているバナナ販売店へご挨拶。その後、以前訪れたときの記憶を頼りに「旅先クイズ会」を開く場所を探した。運良く見覚えのある風景を見つけ、準備開始。横断幕を机に取り付け、地図を貼り、ブザーと景品を並べて、ハッピを着れば、もう気分はお祭りモード。
ターゲットは車の運転手さんたち。笑顔でブザーを鳴らしながら呼びかけたが、なかなか足を止めてもらえない。それでも「楽しそう!」と思ってもらえるように精一杯アピールした。
約30分で撤収したが、「次こそは1人でも参加してもらおう」という新たな目標ができた。

午後は石垣市役所での商談まで時間があったので、徒歩で約8キロの道のりを歩くことに。
途中、南国特有の植物や鳥たちに出会い、歩いてこそ見える景色を満喫していると、突然のスコール。全身ずぶ濡れになりながらも「これも旅の醍醐味」と歩き続けた。
やがて雨もやみ、無事に市役所へ到着。温かく迎えてくださった職員の皆さんと、ツーリストシップの推進についてしっかり話し合うことができた。

夜は地元のおでん屋で沖縄おでんと八重山そば、そしてオリオンビールを。疲れた体に染みわたるおいしさに「来てよかった」と心から思った。

翌日はユーグレナモールの公設市場前で旅先クイズ会を開催。
クルーズ船の寄港もなく人出は少ないと聞いていたが、石垣市役所の職員さんの協力もあり、いざ始めてみると次々と人が集まり、なんと74名もの方が参加してくださった。

関東や関西、九州、東海など日本各地から、さらには海外からも3名の参加者が。
クイズを通じて「サンゴを踏まないように」「スピードを出しすぎないように」「ごみ分別の協力を」など、ツーリストシップの大切さを伝えた。
参加者の方から「ツーリストシップ、大事だね」「それは守らなきゃ」といった言葉をいただき、胸が熱くなった。

修学旅行で訪れた高校生、一人旅の主婦、親子でスキューバダイビングを楽しみに来た方々――
それぞれの旅の目的は違っても、「旅先での思いやり」というテーマでひとつにつながる瞬間があった。
この出会いが、旅の価値をより深くしてくれる。

クイズ会のあとは、市民会館で開かれていた「宿泊税の活用」に関するディスカッションを傍聴。
観光事業者の方々が真剣に意見を交わし、より良い観光地づくりを考えている姿に強く共感した。
現場の声を聞くことで、自分の活動の方向性にも確信が持てたように思う。

夕食はスーパーで買った惣菜とサーターアンダギーを片手に、海辺で夕日を眺めながらの“贅沢ディナー”。
波の音とオレンジ色の空、そして甘いアンダギー。何より心が満たされた時間だった。

次の日、朝5時に起床し、宿泊先に感謝を伝えて出発。空港までは徒歩で向かうことにした。
まだ薄暗い中、ジョギングをする人や犬の散歩をする人たちがいて、「おはようございます!」と声をかけ合う。
そのたびに心が温かくなり、「旅は人との挨拶から始まる」と改めて感じた。

途中、野生のキジや鳥たちに出会い、自然の豊かさを肌で感じる。
道沿いにはマングローブツアーやスキューバダイビングの看板が並び、石垣島がいかに多彩な魅力を持つ観光地かを実感した。
歩きながら、「ツーリストシップをもっと広め、この島がさらにワクワクする場所になっていけばいい」と心から願った。

今回の旅を通して、改めて石垣島の自然や文化の尊さを実感した。
観光地としての発展ももちろん大切だが、その根底には「自然と人との共生」「地域への敬意」が欠かせない。
ツーリストシップとは、単なるマナーやルールではなく、「旅先を思いやる心」そのものだと思う。